白ひげの洪水


               
昔、馬場目村の奥に深い湖があり、そこに北の又権現という竜神が住んでいた。
北の又権現は年を経るにつれて、自分の棲家である湖が狭苦しくなってきたため、どうかして近くの広い八郎潟へ出て行きたいと思っていた。

そうしたある年、大雨が降り続き突然山津波が起こった。北の又権現は、この時とばかり湖の岩壁を押し破って外界に飛び出した。
これを見た野田村の白山木の権現は、さっそうと一丈もある白髪を左右になびかせ山内の里に向かってくる北の又を通すまじとて、細越山の影に身を横たえて待ち伏せた。

やがて両雄の合戦となり大いに戦ったが、北の又権現はついに白山木権現に負けて、やむなく進路を変えて、西野、大川から八郎湖へ抜け出たという。
この時、宮岬崎の八幡宮が白山木の権現に加勢し、北の又権現と取り組んで、西野村に渡ったという。

この時の洪水を「白ひげ水」と言っているが、この洪水によって、馬場目川の流路が面潟の又袋(八郎潟町夜叉袋)から大川に変わったという。



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